・金が知恵を阻害する

北区立神谷中学校 中村文隆校長 同校HPより先日、杉並区の公立中学校で塾の講師による特別授業の問題を取り上げました。

私立なら経営戦略として認められても、公立となれば税金の使い方として適切かどうかが問われます。


そもそも、公立校には適正な教員配置がされているはずです。

杉並区の特定の中学校だけ教員の配置が不足しているということはないと思います。

では、塾講師の存在は何を意味するのかというと、教員の資質が不足しているのことを示します。


教員の資質が不足しているので、外部から塾講師を雇い入れるのはひとつの解決策として考えられると思います。

しかし、塾講師は営利事業ですから、その費用をどの財源で支払うのかが問われます。

適正に配置された教員が「お手上げ」な分を塾講師がカバーするのですから、教員の給与を減額して塾講師の費用に充当するのが当然ですね。(そうなってるとは思いませんが)


一方、北区の神谷中学校では教員の隠れた資質を引き出すことで、外部に頼らない補習授業を実現しています。

「土曜パワーアップ教室」といわれていますが、教員が担当科目以外のものも指導し、個別指導が必要な「落ちこぼれ」には、地域の高校生に助力を願う、画期的なシステムです。


画一化された授業だけに安住していた教師が、他教科を教える必要に迫られたことで新たな学習意欲に目覚め、高校生も教えることで自分の学ぶ姿勢を振り返る機会が得られます。

教える側も教えられる側も、実りある成果が期待できます。

これぞ、知恵を使った教育の見本だと思います。


金の力で解決する杉並の中学校と、知恵で克服する北区の中学校の差は、学んだ中学生の人間性に現れてくるでしょう。

金が知恵を阻害する典型として、教育関係者は真摯に自分たちのこととして受け止める事態だと思います。

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