・原発で温暖化防止も環境は汚染

敦賀発電所スウェーデン政府は地球温暖化対策の一環として、1980年の国民投票で決めた原子力発電所の全廃政策を転換する方針を打ち出した。

欧州では、イタリアが昨年末に一度は廃止した原発を再開すると表明したほか、ロシアへのエネルギー依存を減らしたいポーランドも今年1月に新規原発の建設計画を発表。

ロシアや英国、フランスも新たな原発建設を計画し、フィンランドがすでに着工した。原発推進の流れは今後、一層強まりそうだ。


スウェーデンのフォルスマルク原子力発電所で2006年7月炉心緊急冷却システムと予備の冷却装置が電気的トラブルにより動かなくなり、炉心溶融につながりかねない状態となっている。

スウェーデンではこの事故を受けて、国内に10基ある原子炉のうち4基を停止させた。

なおこの事故のニュースは2日間にわたり非公開とされた。


地球温暖化防止の対応策として、地球環境を汚染する原子力発電に手を染めなければならない。

欧州各国は、この矛盾に突き当たっている。

チェルノブイリ原発事故を例に挙げるまでもなく原発は人類史上最も危険なシステムのひとつだけに、快適な生活を得る代償として環境汚染と放射能事故の危険にさらされる先進国の社会は真にいびつだ。


日本では多数の原発が稼動しているが、地震により原発事故の発生が極めて高いと予想される。

経済産業省原子力安全・保安院がこのほどまとめた資料によると、全国の原発で耐震性の評価を見直すように指導されている。


一方では、原子力発電所の耐震設計の是非が争われた北陸電力志賀原発2号機の運転差し止め訴訟で、控訴審名古屋高裁金沢支部が「具体的危険性は認められない」との判断を示した。

控訴審は、新指針による評価に比重が置かれている。

旧指針より想定地震の規模は大きくなるが、志賀原発の強度余裕を考えれば、新指針にも適合している、という北陸電力の主張を全面的に認め、新指針にも信任を与えたことになる。


ところが、その新指針による検証作業の中で周辺活断層による地震の想定が小さい例やデータが不十分な例が判明している。

判決は現場を把握せずに、空文化している指針に基づいた点において、実態に則していない。


地球温暖化防止に原発が必定だとの考え方は、人間のエゴだと思うし、不条理な人間社会の縮図ともいえる。