真夏の長距離走行でも電池温度をレッドゾーンに入れない走り方 4

リーフで真夏にレッドゾーンに入れずに高速走行する方法について3回に分けて概要を紹介した。
ついでなので、さらにち密に解析を試みる。

余談なのだが、連続で高速道路を千キロも走れない車は、乗用車ではリーフくらいしかないのではないかと思う。
半世紀前のガソリン乗用車ならオーバーヒートしたかもしれないが、現代の日本製乗用車で高速道路を流れに乗ってオーバーヒートで走行に支障が出る車は皆無だろう。

電気自動車だから大目に見てくれると日産は考えているかもしれないが、厳しく見れば現在のリーフは欠陥車だと思う。
今回、紹介している走行技は欠陥を補うものであって、技を必要としない当たり前に長距離を走れるEVを日産には迅速に提供して欲しいと思う。

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さて、本題に戻るが、電池温度の上昇を抑えるには充電時間をできる限り短くすると効果があると紹介してきた。
事実、充電時間の経過とともに電池温度が高くなる。

しかし、長時間充電を続けると別の現象が現れる。
充電時間の経過とともに電池温度の上昇が鈍くなることがある。
その実例を、図−4に示す。

<図−4>

道の駅象潟で充電した時のことだ。
ここには出力44kWの大型充電器が設置されていた。
大型の充電器だけあって電池温度の上がり方も早い。
しかし、半ばあたりから電池温度の上昇が緩やかになる。


一分単位で温度上昇幅を図示したものが図−5になる。
開始から13分までは電池温度の上昇幅(一分前の電池温度からの上昇値)が増えているが、それ以降はほぼ一定して上昇幅が小さくなっている。
充電時間は長い方が電池温度の上昇に悪影響を及ぼさないということになる。

<図−5>

時間の経過とともに充電出力が絞られる影響も加味して図示すると図−6になる。
充電時間が10分前後から出力が絞られるために、出力に対する電池温度の上昇は20分あたりまで続く。
しかし、20分を超えると出力あたりの温度上昇は徐々に低下している。

<図−6>

以上の現象から、数分で充電を切り上げることができない状況では、一般的な充電時間の制限となっている30分、さらには他車に支障がなければお代わりして充電を続けた方が温度上昇から見た充電効率は高くなる可能性がある。
素早く移動するために有効な短時間充電だが、電池温度への影響を考慮すると長距離移動の際には必ずしも有効であるとは限らないということも考えられる。

今回のロングドライブでは、道の駅象潟における充電が電池温度計がレッドゾーンに入る瀬戸際であった。<図−1>

ここの充電を短時間で切上げて、少し先の日産で再び経路充電した方が充電の時間効率は良くなるはずだが、仮に早く移動しようと高速道路(日本海東北自動車道)を利用していれば電池は冷却されずにレッドゾーンに入っていたと推察される。
結果として昼食で50分間滞在しながら充電したことで電池の温度上昇を最小限に抑えることができた。

電池温度がレッドゾーンに入るきわどい状況では、高速道路と一般道の使い分け、ながら充電の長短が大きく影響する。
気にし過ぎると不安なドライブになってしまうが、こうしたリーフならではの欠陥をユーザーの技で克服するのもドライブの楽しみの一つだとも言える。