真夏の長距離走行でも電池温度をレッドゾーンに入れない走り方 5

日産の電気自動車リーフの電池オーバーヒート対策を紹介するシリーズも最終回。

東北一周2150kmの旅で得られた復路の充電データから、充電器の出力と電池残量が電池温度の上昇に与える影響について考察する。
図−7に復路の充電における充電所データを示す。
ここに、SOCとは電池残量、( )内のkWは充電器の最大出力、充電施設名上のkWhは充電量、グラフの縦部分脇の温度は電池温度の上昇幅を表す。

<図−7>

表−1に米山SAまでの充電器のデータをまとめた。
ここに、「温度上昇比」とは電池温度の上昇値を充電量で割った(除した)ものである。

<表−1>

この状態では数字が示す意味が理解しにくいので、温度上昇比順に並び替えたものが表−2。

<表−2>

この表では、温度上昇比が小さい、すなわち電池の温度が上がりにくい充電器の順に並んでいる。
特徴として、
・最も温度上昇比の小さい道の駅相馬は、最大出力は最も低いが充電量は多く、電池残量(SOC)が比較的少ない。
・次に温度上昇比の小さい黒埼PAは、最大出力が高く充電量も多いが、SOCは少ない。
・ファミマ田村都路店は、最大出力は高くないがSOCが多いことにより温度上昇比も大きくなっている。
・日産福島会津店は最大出力が最も高く、SOCも多めであることから温度上昇比が最大。

ここから分かることは、
1.最大出力が低い充電器は温度上昇しにくい。(最大出力の高い充電器は温度上昇しやすい)
2.電池残量(SOC)が少ない方が温度上昇しにくい。(電池残量が多い方が温度上昇しやすい)

これらの特徴を生かして電池温度の上昇を抑えるには、電池残量をできる限り少なくしてから最大出力の低い充電器で充電する方法が最善だと考えられる。

例としては、そろそろ電池残量が少なく(電池残量計2〜3セグ)なってきたから日産で経路充電したくなる気持ちを抑えて、もう少し先のコンビニまで距離を延ばして電池残量をさらに減らして(1セグ以下)にしてから充電した方が電池温度が上がらない。
もちろんだが、電池残量がたっぷりある状態での継ぎ足し充電は、電池温度は上がるし時間も無駄になる。

ロングドライブで電池(走行用リチウムイオンバッテリー)の状態を制御しながら経路充電を繰り返すのはかなり高度な充電術になるから一部のユーザーだけに限られるだろうが、リーフの欠陥である電池のオーバーヒートを抑制する技として参考にして欲しい。