・滋賀県知事に聞く

信濃毎日新聞で「自治の視点」として、他見の知事にインタビューする特集が組まれている。
今朝は、滋賀県知事。
自公民が推薦する公共事業優先の現職を破って、20日に知事の職に就いたばかり。


主張は明確で、共感できる。

生活者の視点で、現場から物事を考えたい。滋賀県の抱える借金は約一兆円にもなり、大変な財政難。
にもかかわらず、税収効果や必要な社会資本と称して多額の金をかけ、新幹線新駅建設などを進めるという。
家計に置き換えるなら、子や孫に借金を付回してまで、贅沢な暮らしをする必要があるのか疑問を感じていた。

生活者の視点で考えれば、自分が返せない借金をしてまで事業をする必要があるのか、疑問を持つことから始めて当然だと思います。
本来ならば、コツコツと蓄財して後世に残し、必要な時期に必要な世代が使う姿が望ましい。
これならば、財政が破綻することはない。


身の丈に合った金の使い方ができれば良いのですが、世の中が先行投資で得られる利益を重視しているので、庶民感覚が通用しない社会構造となっている。
しかし、民間企業が一定の割合で倒産していることからも解るとおり、経済社会では敗者が必ず生まれてしまう。
自治体の運営も、この運命には逆らえない。


倒産しても解体してやり直せる企業とは違い、自治体は破産が許されないのだから、
経済理論と生活者の視点のバランスが求められます。
今回の滋賀知事選は、生活者側寄りの県政を求める県民の声が強かった結果なのでしょう。


さて、長野県知事選挙に重ねて見てみましょう。
借金は、滋賀県より5割も多い1兆5468億円。
田中知事の就任前に溜まった借金は、2000年で1兆6391億円だったから、減らしているのにこんなにある。


嘉田・滋賀県知事の言葉を借りるまでもなく、税収効果や必要な社会資本と称して多額の金をかけている場合ではない。
借金を返すために金を借り続ける多重債務者になって、本当に健全な財政を構築できるのか、甚だ疑問に思う。


民間企業と異なり、財政が破綻しても歴代の首長が責任を問われて財産を没収されることは考えにくい。
責任が限定されているから、借金を多少増やしても大丈夫などと軽口が叩けるのでしょう。
資産形成のための借金は相殺されると思い込んでいる、駒ヶ根市長のようなタイプが多いから地方自治体の財政が破綻してしまうのだと思います。


自治体は企業ではないから、企業以上に高度な運営を求められる。
経営者経験のない者が、企業理論をかざしても説得力はまったくない。
滋賀県民が生活者の視点で知事を選んだことは、長野県民にとっても大変に参考になります。


村井氏の県政運営への考え方と、田中氏の方向性はまったく異なる。
滋賀県民と逆の方向を長野県民が向けば、村井氏が県政を担うことになります。
田中県政が続くことになれば、滋賀県からの流れが加速します。


世の中の流れは、どちらを向くのか。長野県知事選挙の行方は、今後の日本の行方を占う。